• 3月 14, 2024

脂質異常症の症状と治療方法

脂質異常症とは、血液中のコレステロールや中性脂肪などの脂質が正常値を超えてしまう病気です。脂質異常症は、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などの重大な合併症を引き起こす可能性があります。そのため、早期に発見し、適切な治療や生活習慣の改善を行うことが重要です。

このブログでは、脂質異常症の原因や症状、診断方法、治療法などについて解説していきます。脂質異常症に関心のある方や、自分や身近な人が脂質異常症になってしまった方は、ぜひ参考にしてください。


脂質異常症の症状


脂質異常症には自覚症状がほとんどありません。そのため、定期的に血液検査を受けて、脂質の値をチェックすることが大切です。自分ではほぼ気付けない病気ですが、放置をすると重大な健康被害をもたらします。

脂質異常症の原因


脂質異常症は、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などの生活習慣病のリスクを高める要因となります。
脂質異常症の原因は、主に以下の3つに分けられます。

遺伝的な要因


親から子へと遺伝する特定の遺伝子変異が原因で、血液中のコレステロールや中性脂肪の代謝が正常に行われないことです。この場合、生まれつき血液中のコレステロールや中性脂肪が高くなりやすい体質となります。遺伝的な脂質異常症は、家族性高コレステロール血症や家族性高中性脂肪血症などと呼ばれます。遺伝的な脂質異常症は比較的まれで、発症する人は全体の5%以下と言われていますが、重篤な合併症を引き起こす可能性が高いため、早期に発見して治療することが重要です。

生活習慣の要因


多くの脂質異常症は、生活習慣の乱れによって引き起こされます。食事や運動、睡眠などの日常生活における不健康な行動が原因で、血液中のコレステロールや中性脂肪が増えてしまうことです。生活習慣の乱れによる脂質異常症は非常に多く、発症する人は全体の95%以上と言われています。
特に、以下のような生活習慣が脂質異常症の原因となります。

生活習慣の主な要因・高カロリー・高脂肪・高塩分・低食物繊維の食事
・運動不足
・喫煙
・アルコールの過剰摂取
・ストレス・睡眠不足

これらの生活習慣は、肥満やインスリン抵抗性を引き起こし、血液中のコレステロールや中性脂肪を増加させます。また、喫煙やアルコールは、血管を傷つけて動脈硬化を促進します。生活習慣による脂質異常症は、食事や運動などの改善で予防や改善が可能です。

また、生活習慣の乱れによる脂質異常症は、年齢や性別によっても発生しやすさが変わります。一般的には、男性よりも女性の方が発生しやすく、若い人よりも高齢者の方が発生しやすいと言われています。これは、女性ホルモンや成長ホルモンなどが血液中のコレステロールや中性脂肪を低下させる効果があるためです。しかし、女性ホルモンの分泌が減少する閉経後や、成長ホルモンの分泌が減少する老化に伴って、脂質異常症のリスクは高まります。

その他の要因


一部の薬剤や疾患も、脂質異常症の原因となることがあります。
例えば、以下のようなものが挙げられます。

その他の主な要因・ステロイド剤やピルなどのホルモン剤
・βブロッカーなどの心臓血管系の薬剤
・抗うつ剤や向精神薬などの精神科系の薬剤
・糖尿病や甲状腺機能低下症などの内分泌系の疾患
・腎臓や肝臓の機能障害

これらの要因は、血液中のコレステロールや中性脂肪を影響するホルモンや代謝物質を変化させることで、脂質異常症を引き起こします。これらの要因による脂質異常症は、原因となる薬剤や疾患の治療や調整で改善が可能です。

脂質異常症の診断


脂質異常症の診断は、主に血液検査によって行われます。中性脂肪、HDLコレステロール(善玉コレステロール)やLDLコレステロール(悪玉コレステロール)などの値を測定します。これらの値は、血管疾患のリスクを評価するために重要です。一般的に、HDLコレステロールは高いほど良く、LDLコレステロールは低いほど悪いとされています。

脂質異常症の診断基準は以下のように定めています。

脂質異常症の診断基準・総コレステロール:240 mg/dL以上
・中性脂肪:150 mg/dL以上
・HDLコレステロール:40 mg/dL以下
・LDLコレステロール:140 mg/dL以上

脂質異常症の治療


脂質異常症の治療を紹介します。

脂質異常症の主な治療・生活習慣の改善
・薬物療法

生活習慣の改善とは、食事や運動などの日常生活における行動を見直し、脂質値を下げることを目指すことです。具体的には、以下のようなことが挙げられます。

食事では、動物性脂肪や油揚げなどの高脂肪食品を控え、魚や大豆製品などの良質なたんぱく質や野菜や果物などの食物繊維を多く摂るようにします。
運動では、有酸素運動を中心に、週に3回以上、1回に20分以上行うようにします。運動は、コレステロールや中性脂肪を消費するだけでなく、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を増やす効果もあります。
喫煙は、善玉コレステロールを減らし、動脈硬化を促進するため、禁煙することが望ましいです。
アルコールは、中性脂肪を上昇させるため、適度な量に抑えることが必要です。一般的には、男性では1日に20g以下、女性では10g以下が目安とされています。
生活習慣の改善だけでは十分に脂質値が下がらない場合や、既に循環器疾患を発症している場合は、薬物療法が必要になることがあります。

脂質異常症は一朝一夕には改善されませんが、日々の予防や管理によって生活の質を高めることができます。自分に合った予防方法を見つけて実践してみましょう。
脂質異常症に悩む方にとって、このブログが少しでも参考になれば幸いです。

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